専門医のコラム − 心臓血管外科 嶌 田 泰 之

下肢静脈瘤;日帰り手術/一泊二日短期入院の手術 (このページ)
ペースメーカー手術を受けられる患者様へ:日帰りまたは一泊二日の短期入院 (次のページ)

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう);日帰り手術/一泊二日短期入院の手術

 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、足の表面の静脈がはれて大きくなってくる病気です。生命にかかわる病気ではありませんので、がまんして放置されている方が多いと思います。また、どの科を受診すればよいのかわからない方もおられるでしょう。はじめは無症状であるため、ついつい治療せずに放置してしまう病気です。のみ薬やぬり薬では治りません。放置したままですと、確実に病気は進行します。治療は早ければ早いほど効果があります。いちど足の健康診断をしてみませんか。
 症状
 
足の表面の静脈のはれです。静脈のはれは、横になると消え、立ち上がるとすぐに現れます。最初は無症状ですが、放置して悪化しますと皮膚炎(ひふえん)をおこし皮膚が黒くなり、穴があきます。あしがだるい、夜間に足がつる、などの症状がでてくれば要注意です。かなり目立ちますので、美容上の問題もあります。

 原因
 
静脈には血液の逆流を防ぐ弁がついています。足の表面にある静脈にも弁があります。この静脈の弁が壊れ、血液が足の静脈にたまり心臓に戻れずに、静脈のはれを引き起こしてしまいます。立った姿勢では、心臓から足までの高さの分、静脈に圧がかかりますので、静脈が大きくはれてきます。遺伝、妊娠、長時間の立ち仕事、などが原因とされています。女性に多いのも特徴です。立ち仕事が多いと、男女に関係なくおこります。立ちっぱなしで仕事をする働き者に多い病気といえましょうか。

 診断
 
足の真ん中を流れる大きな静脈がつまっていないか、超音波検査(ちょうおんぱけんさ)で調べます。また、足の動脈硬化(どうみゃくこうか)がないかも調べます。はれている静脈のどの場所に問題があるか、ドップラー超音波検査(ちょうおんぱけんさ)で詳しく調べます。

 治療(1);ストッキング
 静脈瘤の治療の基本中の基本です。下肢静脈瘤と診断された方全員に必要な治療法です。ストッキングには、病気の進行を抑える働きがあります。だるさなどの症状を和らげる効果もあります。夏の暑い日はつらいので、朝、起床後3時間だけでも着用して下さい。立ち仕事をされている間、着用いただくと非常に有効です。手術を受けられた方もぜひ続けて下さい。再発の予防効果があります。静脈瘤治療用ストッキングは、採寸を外来で行い、当院売店でお求めいただくこともできます。静脈瘤用ストッキングは健康保険がききません。価格は1, 2万円の製品が多いようですが、当院売店では両足用を3800円で販売しています。

 治療(2);外来手術(日帰り手術)
 はれている静脈のつけね(多くは太もものつけね)とはれた静脈の悪い部分を1cmくらいの切開を加え、静脈を糸でしばってしまいます。麻酔は局所麻酔(きょくしょますい)です。さらに局所麻酔にも工夫を加え、同じ量でより広い範囲に麻酔をすることで、これまで全身麻酔でのみでしか行えなかった静脈瘤の抜去術も行うことが可能になりました。片足だけの手術であれば、全身麻酔をかけて行なう手術に劣らない手術が可能となりました。キズは溶ける糸で傷をぬい、2重の安全対策のため、皮膚表面接着剤をぬります。このため、抜糸の必要もなく、シャワーも当日から可能です。術後1-2時間安静ののち帰宅していただけます。2-7日後、外来で傷の具合を拝見します。化膿(かのう)止(ど)めと痛み止めを5日間のんでいただきます。痛みはほとんどない方が多いようです。費用は健康保険3割負担で13000円くらいです。

従来の方法

皮膚表面接着剤

 

 皮下、皮膚を溶ける糸で縫って、さらに皮膚表面接着剤を使用します。外来でキズのチェックを行うまで、ガーゼははがさないで下さい。

治療(3);短期入院(1泊2日、2泊3日)
 
外来手術では治療できない大きく広範囲の静脈瘤は、全身麻酔で大きくなった静脈を、ストリッパーという外科器具を使い、すべて取りさります。両足とも一度に手術を済ませたい、局所麻酔の注射が痛いので、という方にお勧めです。必要な検査は外来で済ませ、手術当日朝に入院いただき、午後から手術です。傷は太もものつけねと足首に2cmの切開と、残った静脈瘤の切除が必要です。キズの数は5-20ヶ所です。費用は健康保険3割負担で85000円くらいです。キズのぬい方は日帰り手術と同じで、翌日朝からシャワーが可能、入浴は午後から可能です。痛みが無けなれば手術翌日退院可能です。

手術翌日のキズ。
茶色く見えるのは消毒液です。
皮膚表面接着剤が消毒液を被っているためです。
翌日からシャワーをあびることができます。
キズの消毒も必要ありません。

 
 ストッキング治療、手術については、当院心臓血管外科外来で、お気軽に御相談下さい。
 御遠方からの患者様も、御退院後の通院が1、2回ですむよう御相談させていただきます。
(月、火、木、金、午前11時半まで受付、水曜日、土曜日休診。)


ペースメーカー手術を受けられる患者様へ:日帰りまたは一泊二日の短期入院 →次のページへ